創業以来、三代・100年にわたり、古来より伝わる醤油の伝統的製法を受け継いできた川中醤油。広島の風土に生まれ、伝承の技で育んできた醤油は、理想の味を追い求めてきた私どもの想いの結晶と言えます。 その本物ならではの安心感と美味しさを磨き上げてきた川中醤油の歩みをご紹介します。
川中醤油は、今でこそ社員数40名を数えるが、30年前まではたった3名のちっぽけな醤油屋だった。そのルーツは、日露戦争が終結して間がない明治39年頃に祖父である川中力三が創業。細々と醤油・味噌を造っては地域の方々へ配っていた。
戦後、父・川中俊三が跡を継ぐと、佃煮屋・漬物屋などへ販路を広げるとともに店卸も始め、年とともに従業員も2~3名ずつと増えていった。昭和48年には、広島県醤油組合の理事長に就任し、県内の業者のお世話をするようになった。
組合事業の活性化とともに醤油造りの全体的底上げで品質が向上し、しかも安定的に供給できるようになったところで、川中敬三が手伝うようになった。そして、他社にない高品質で高付加価値な醤油造りに向けて第一歩を踏み出すべく、様々な研究開発を行なった。その結果、まずはモノづくりの原点として、自然を味方にした広島地方にあった醤油「天然醸造醤油(本醸造)特選」を開発。自然農法を取り入れていた某学園の指定となり、徐々に規模を拡大していった。
一方、企業向けに留め型調味液も手がけ、昭和55年、マルシン醤油を買収して販売先を中国5県とすると、だし抽出の「だしげん」の製造を開始した。当初3~4倍濃縮で販売していたが、淡口醤油使用で9倍濃縮の「だしげん」も開発。この頃よりだし抽出の技術を確立して、昭和60年、昆布だしを合わせた「天然かけ醤油」の開発に成功し、だし醤油へとシフトしてくきっかけとなった。
平成2年、新工場建設とともに、よりだしの抽出にこだわりを持たせ、「ストレートつゆ」の製造を開始した。この頃より次々と新製品を開発。「ストレートつゆ」「2倍つゆ」「根こんぶ醤油」「吟醸天然和風だし」「一番搾りすだちぽん酢しょうゆ」「椎茸醤油」「だしつゆ」などなどである。
使用する素材にさらにこだわるとともに、処理方法や製法も高い技術を取得し、近年、白醤油にだしを合わせた「じゃぶじゃぶかけるつゆ」を開発。現在では、広島県内のゆず果汁をたっぷりと使った「ゆずぽん酢しょうゆ」の発売にこぎつけた。このぽん酢は、現段階では日本のトップクラスの味をつくりだし、業界からも高い評価を得ている。これからも醤油はもちろん、つゆ、たれ、ドレッシングなどすべてのジャンルで、川中醤油でしかできない川中オリジナルの味とブランドの確立に向けて日夜努力していきたい。
ゆずぽん酢しょうゆで使用しているゆずは、広島県高宮町の川根柚子組合との契約栽培で、減農薬栽培による安心の品質のものを使用。瀬戸内の暖かな気候と清らかな流れが生んだふるさとの逸品です。